実家の隣には、祖父母が営む小さな工場がありました。
私の家では「こうじょう」ではなく、「こうば」と呼んでいた場所です。
祖父の工場で作っていたのが「鋳物」だと知ったのは、大人になってからです。
子どもの頃は何を作っているのかも分かっていませんでした。
それでも、工場に何度も入った記憶は今も残っています。
中学生の頃、美術の作品づくりで木材を加工する必要がありました。
グウォオオンと大きな音を立てる機械を前に少し緊張しながら、
祖父に教わって、学校から持ち帰った木材を丸く削りました。
振り返ると、ものづくりや現場の仕事に対する親しみや尊敬は、
あの「こうば」の風景の中で育っていたのかもしれません。